雲のようにフワフワしていて、届きそうで届かない……
そんな印象を受けた5番さん。
婚活パーティーには、結婚に関する直截的なトークを繰り広げる女性もいれば、5番さんのようにいまいち目的が伝わってこない女性もたまにいる。
それが悪いというわけではなく、今回のように映画好きが集まるパーティーなら、5分ほどのトークタイム中は映画の話題で楽しく盛り上がり、その際の印象なりを手掛かりにカップリングする。
具体的な交際や結婚についての話はそのあとだろう。
だから5番さんが特殊というのではなく、一見つかみどころのない会話の中でも彼女なりの触覚で相手を探り、まずはカップリングの相手として相応しいかどうか見定めているのだ。
たぶん。
でも、けっこう可愛いかったな……
結局大事なのはそこか、と自分につっこみつつ、総合してなかなかの好印象となった5番さんの個室を出た僕は、そのあと7名の参加女性とのトークタイムを完了した。
映画というお題があるおかげでどの女性とも話すネタには困らず、終始、和やかな雰囲気で過ごせたと思う。
それでも、5番さんは別にして、この段階でカップリングしたいと思える人はいなくて、プロフィールを見た際にいいなと思った2人のうちの１人も、実際に話すと多少の違和感を感じた。
それは向こうも同じだろう。
この様子だと、もう1人の方も過度な期待はできないかな……
少し肩を落しながら、そのもう1人の女性が待っている1番の個室に入った。
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