婚活パーティー追想記

恋愛こじらせアラフォー男子が婚活パーティーに参加した体験を追想します

085. 婚活パーティー【体験】渋谷で憧れの職業編(5)

数名とトークタイムを終えて、いよいよ8番の席に向かう。

 

例の客室乗務員がいる席だ。

 

「失礼します」

「こんにちは!」

 

彼女は最高の笑顔で迎えてくれた後、僕を正面に見据えたまま、しばらく視線を外さなかった。

 

見まごうことのない美しさ。

 

僕はその間、魂を絡め取られでもしたかのように動けなかった。

 

10秒くらいあったかもしれない。

 

はっと我に返って、女性を凝視してしまって失礼だったな、と思ったが、彼女は笑顔のまま。

 

……これが彼女一流のオモテナシだろうか。

 

その破棄力に世の中の9割5分の男性は骨抜きにされるに違いない。

 

僕はむしろ用心して会話に臨んだ。

 

「お仕事は客室乗務員なんですね」

「はい」

 

香水の匂いが淡く漂ってきて、彼女がこころもち、体をこちらに寄せたのがわかった。

 

思わず視線を泳がせると、綺麗に揃えられた両膝がちらついて、慌てて視線を戻す。

 

香水がより強くなって、その分、混乱した。

 

「あ、英会話、できるんですね」

 

彼女が僕のプロフィールから察したことを口にする。

 

「日常会話レベルですけど。○○さんはもちろん、英会話なんてお手のものですよね」

「日常会話レベルですけど」

 

からかうような口調が、僕の気持ちをさらに締め上げた。

 

必死にそれに抗っていると、ある言葉が脳裏を掠める。

 

魔性の女。

 

そのなまめかしい態度は、意図してなのか、してないのか。

 

それでいて職業柄か清潔感も混じっているから、もう手に負えそうにない。

 

 

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