自宅へ帰る路線が違うので、Eさんとは駅で別れた。
まだ午後の盛りも始まったばかりで、新宿まで出てきたのに直帰するのはもったいなく感じて、デパートに立ち寄って買い物でもすることにした。
Eさんのおかげで今日の午後に開催される別のパーティーへ参加する必要がなくなった分、無駄遣いできる。
おしゃれな夏服でも買っておこう。
そう思って駅ビルのエスカレーターに向かい、乗る前に脇のスペースに入って、スマホを開く。
お礼は早い方がいいだろう。
「今日はありがとうございました。楽しい時間が過ごせました。気を付けてお帰り下さいね」
可愛いスタンプを添えて、Eさんに簡単なメッセージを送る。
彼女と別れる際、どこかへ遊びに誘おうかな、とちらっと思わないでもなかったが、彼女の真意というか気持ちを知るためには、むしろLINEのメッセージの方が適当な気がした。
軽いところから始めていければ、僕としても有難い。
不都合だったら何か言ってくるだろう……
そこまで考えて、つまり僕は彼女と付き合いたいと思っているのか?
そう自問した。
このまま終わってしまうのはもったいない。
彼女には別のパーティーに参加して欲しくない。
それでも僕は……
少し冷めた心持ちでエスカレーターに足をかけた。
別のパーティーに参加する。
なんなら明日でも。
誰かと正式に付き合うまでは、パーティーに参加し続けると決めたのだから。
(040. 婚活パーティーで初カップリング(17)参照)
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