山手線の内回りに揺られながら、窓の外を眺めた。
隣にはDさんが立っているけど、初めのころのような緊張感はなく、過ぎてゆく時間もいい意味でゆるやかに感じられる。
日差しの眩しさに目を背けた拍子に、彼女の水色のペディキュアが目に入った。
綺麗ですね、と言いそうになって、それはやめておく。
マニキュアやネイルアートと違って、直截的な言及を控えさせる何かがあったから。
誰かに見せるのではなく、むしろ自分のために綺麗にしておいた。
そんな感じ。
彼女が乗り換えのために電車を降りるまで、あと二駅に迫っていた。
「パーティーはよく行くんですか?」
普通なら訊きにくい質問が、驚くほど自然に出てくる。
午後からパーティーに参加して、カップリングして、お茶をして、帰りを一緒して、こなすべきタスクを無事に終わらせて、ほっとすると同時に、余裕もできていたのだろう。
それはDさんも同じだったらしく、この段階になると、緊張や不安、興奮などからは解放されたように、するっと返事が出てくる。
「月で2回くらい」
思いのほか少ないなと思った。
この時の僕はまだ、女性の平均参加回数など予想もつかなかったが、もし本気だったら週一で通ってもいいくらいな気がしていた。
「僕は参加し始めてから日が浅いですが、もう少し頻繁に行ってます」
「そうですか」
その笑顔の意味するところを、あるいは意味がないことを、僕は追及しなかった。
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