婚活パーティー追想記

恋愛こじらせアラフォー男子が婚活パーティーに参加した体験を追想します

036. 婚活パーティー【体験】初カップリング こだわりを捨てて(13)

 

山手線の内回りに揺られながら、窓の外を眺めた。

 

隣にはDさんが立っているけど、初めのころのような緊張感はなく、過ぎてゆく時間もいい意味でゆるやかに感じられる。

 

日差しの眩しさに目を背けた拍子に、彼女の水色のペディキュアが目に入った。

 

綺麗ですね、と言いそうになって、それはやめておく。

 

マニキュアやネイルアートと違って、直截的な言及を控えさせる何かがあったから。

 

誰かに見せるのではなく、むしろ自分のために綺麗にしておいた。

 

そんな感じ。

 

彼女が乗り換えのために電車を降りるまで、あと二駅に迫っていた。

 

「パーティーはよく行くんですか?」

 

普通なら訊きにくい質問が、驚くほど自然に出てくる。

 

午後からパーティーに参加して、カップリングして、お茶をして、帰りを一緒して、こなすべきタスクを無事に終わらせて、ほっとすると同時に、余裕もできていたのだろう。

 

それはDさんも同じだったらしく、この段階になると、緊張や不安、興奮などからは解放されたように、するっと返事が出てくる。

 

「月で2回くらい」

 

思いのほか少ないなと思った。

 

この時の僕はまだ、女性の平均参加回数など予想もつかなかったが、もし本気だったら週一で通ってもいいくらいな気がしていた。

 

「僕は参加し始めてから日が浅いですが、もう少し頻繁に行ってます」

「そうですか」

 

その笑顔の意味するところを、あるいは意味がないことを、僕は追及しなかった。

 

 

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