婚活パーティー追想記

恋愛こじらせアラフォー男子が婚活パーティーに参加した体験を追想します

034. 婚活パーティー【体験】初カップリング こだわりを捨てて(11)

「私はまあまあです。忙しいですか?」

「たまに残業があって、遅くなったりします。あまりしないようにしてるんだけど、上司がしてるとどうしても」

「私もです」

 

この話題もたいして盛り上がりそうになかった。

 

こちらの職種や業務内容を具体的に話して、なにか質問でもしてくれればと思ったが、大きな反応はない。

 

まだしも「昇給しますか?」くらい訊いてくれた方が、笑えるシチュエーションになるのに。

 

……もしかして、僕に興味がない? 

 

いや、少なくとも今の段階でそれはないはずだ。

 

35歳で婚活パーティーに参加する女性。

 

そこでカップリングした相手とお茶をしている。

 

その目的は相手の情報収集に他ならないはずで。

 

つまり彼女は遠慮気味な性格の上に緊張していて、訊きたいことも訊けずにいるのだろう。

 

そういう状況下でも、なんとか笑顔を繕う彼女から、会話を続けようとする必死さは伝わってくる。

 

それに応えなくては。

 

僕だって彼女の別の側面をもっと知らなきゃいけない。

 

「残業なくて早く帰宅したとき、とくにやってることはありますか?」

「そうですね……」

「あ、たとえば料理とか」

「自炊してそうって言われるけど、実はそうでもなくて」

「外食が多いんですか?」

「まあ……料理、しますか?」

「いや、僕は全然」

「でも私、たまに自分のおやつを作ったりはしますよ」

「へえ、いいですね。甘党とか?」

「好きですね」

「実は僕も」

 

いくぶん、笑える雰囲気になった。

 

甘いのが好きという共通点も発見した。

 

しかし……

 

少し無理をしているな、と互いに感じていたかもしれない。

 

 

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