アピール送信が終わって隣を見ると、Aさんはグラスに口をつけていた。
ちゃちゃっと済ませたのだろう。
いっぱい送りましたか? と訊いてみたかったが、いくら親切なAさんにでもさすがにためらわれた。
代わりに、「いい人はいましたか?」と尋ねる。
これも聞きようによってはデリケートな問いだが、彼女と最初に話した「いい人はなかなかいない」という話題に続くものだし、なによりここはそういう場所だ。
一巡して初めの個室に戻ってきてからは、そのあたりの男女の匂いがより濃密になっている。
彼女は僕の問いに、「うーん」とはにかみながら首を傾げた。
どちらにも取れるリアクション。
人に言いたくないか、自分でもよくわからないか、相手の反応次第といったところか。
ふいに「どうしてたか?」と逆に訊かれて、実はかなり焦った。
いや~と笑ってごまかしたい衝動に駆られたが、親切にしてくれたAさんには正直でいたい。
「いいなーと思う人はいたけど、付き合うとか、その先のこととか、よくわかりません」
Aさんは共感してくれたように、首を数度、縦に振った。
「数分、話しただけじゃわかりませんよね」
「やっぱりAさんでもそうですか?」
「もちろんです」
Aさんへの好感度が増したところで、再びアナウンスが響く。
「アピールの結果でました! 続いてカップリング希望に移ります!」
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