「全然いないんですよ~」
やっぱり唐突だったかな、と内心、心配したが、Bさんは思いのほか明るい調子で答えると、笑いながら話を続けてくれた。
「先生はおじいさんで、あとは女性ばかり。同僚も彼氏できないって嘆いてます」
言われてみれば、歯科で男性スタッフをみかけたことがない。
そこで、さっきの所感を投げかけてみた。
「でも、それってすごくもったいないですよね」
「え、なにがです?」
「すごく綺麗だから。職場に男がいたら放っておかないと思います」
「ないない、絶対ない!」
手を振って否定しつつも、そのあしらい方はどこか様になっていた。
小刻みに揺れるイヤリングを見ながら、自分が美人であることを知らない女性なんていないよ、と昔だれかが言っていた言葉を思い出し、少し気後れしてしまう。
一番の気がかりは年齢だった。
普通に考えて、一回りほども年上の男に興味を持つことはないだろう。
その一方で、大方は僕と同年代の男性が参加するパーティーとわかった上で、彼女がここへ来ているのも事実だ。
なにか特殊な嗜好や意図でもあるのだろうか……
時間になって個室を出た僕は、即座にタブレットへ指を伸ばす。
もしかしたら、に期待して、印象を留めておくために押すことができるハートマークを最高値まで押した。
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