婚活パーティー追想記

恋愛こじらせアラフォー男子が婚活パーティーに参加した体験を追想します

007. 婚活パーティー【体験】初参加(5)

パーティーの開始時刻になって、司会者が進行方法を説明する中、Aさんのプロフィールを確認する。

 

37歳で会社の事務員。

 

趣味は旅行に小物作りとあった。

 

これだけ見ると地味な印象だが、実際のAさんはショートカットの似合う、健康的なしっかり者といった感じ。

 

「それではトークタイムスタートです!」

 

司会者の合図と共に会場内がざわついて、周りの個室からもすぐに話し声が聞こえ始めた。

 

僕とAさんもはにかむようにタブレットを覗き、改めてお互いのページを見る。

 

こういう場での会話は男性がリードするべきかな、と思って、趣味としては少し珍しい小物作りを話題にしようと思った矢先、Aさんが話しかけてきた。

 

「普段は出会い、ないんですか?」

 

パーティーの開始前にした会話を再開するような口調だった。

 

本心を言えば、趣味の話よりもこの手の話題の方が、断然、興味深い。

 

「平日は家と会社の往復で、会社には既婚者ばかりです」

「あ、私もそうです」

「休みの日も買い物に出るくらいで、あとは家で映画観たりで」

「私、趣味で小物作ってて、たまに教室に行ったりするんですけど、そこも女性ばかりで」

「ですよね、そういう教室だったら」

 

お互い、照れたように笑いつつも、徐々に会話が温まってくるのを感じる。

 

教室の内容に触れながら、もっと深いところに突っ込んでもいいのだろうかと迷っていると、司会者のアナウンスが入った。

 

「お時間です! 男性の方は次の席にお移り下さい!」

 

残念な気持ちを抑えつつ、Aさんとお礼のお辞儀を交わし合う。

 

数秒後には、次の男性がこの個室にやってくるのだ。

 

急いでグラスとタブレットとバッグを拾って、もう一度頭を下げてから席を立った。

 

 

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