パーティーの開始時刻になって、司会者が進行方法を説明する中、Aさんのプロフィールを確認する。
37歳で会社の事務員。
趣味は旅行に小物作りとあった。
これだけ見ると地味な印象だが、実際のAさんはショートカットの似合う、健康的なしっかり者といった感じ。
「それではトークタイムスタートです!」
司会者の合図と共に会場内がざわついて、周りの個室からもすぐに話し声が聞こえ始めた。
僕とAさんもはにかむようにタブレットを覗き、改めてお互いのページを見る。
こういう場での会話は男性がリードするべきかな、と思って、趣味としては少し珍しい小物作りを話題にしようと思った矢先、Aさんが話しかけてきた。
「普段は出会い、ないんですか?」
パーティーの開始前にした会話を再開するような口調だった。
本心を言えば、趣味の話よりもこの手の話題の方が、断然、興味深い。
「平日は家と会社の往復で、会社には既婚者ばかりです」
「あ、私もそうです」
「休みの日も買い物に出るくらいで、あとは家で映画観たりで」
「私、趣味で小物作ってて、たまに教室に行ったりするんですけど、そこも女性ばかりで」
「ですよね、そういう教室だったら」
お互い、照れたように笑いつつも、徐々に会話が温まってくるのを感じる。
教室の内容に触れながら、もっと深いところに突っ込んでもいいのだろうかと迷っていると、司会者のアナウンスが入った。
「お時間です! 男性の方は次の席にお移り下さい!」
残念な気持ちを抑えつつ、Aさんとお礼のお辞儀を交わし合う。
数秒後には、次の男性がこの個室にやってくるのだ。
急いでグラスとタブレットとバッグを拾って、もう一度頭を下げてから席を立った。
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