カフェに入った僕と5番さんは、窓際の席に座ってコーヒーカップを口元に運ぶ。
よく婚活情報誌なんかには、最初のお茶は短く済ます、長くても1時間、もう少し話したいと思えるところで切り上げるのが妙、なんて書かれている。
その真偽はともかく、概ねは賛成だ。
全部を語ってしまいたくなるところを我慢して、その後のメールやLINEのやりとりで小出しする。
興味を持続させ、関係を長期化させていくことで信頼関係を築く。
むしろ付き合うまでの自然な流れだろう。
なので、5番さんが提案した “30分” という時間も、短さは問題じゃない。
その時間を使ってより深い会話を楽しみ、連絡先の交換もできた。
しかし……
ナチュラル系ゆるふわ、みたいな5番さんはここでも可愛かったが、心のどこかで、1番さんとの映画に負けた、というちょっとした敗北感を感じていた。
本来なら30分でも割いてくれたことに感謝するべきところ、そうは素直に思えなかった。
もし、と自問する。
目の前の相手が1番さんだったら?
……たぶん、勝った負けたなんて初めからなくて、こうして一緒にお茶をしているだけでワクワクがとまらないだろう。
結局、僕はそんなところに落ちてしまう。
本当の意味で、相手のよさをわかり得ない男なのかもしれない。
カフェを出て5番さんと別れた僕は、冷たい風に当たりたくなって、駅構内の人ごみを掻き分けるように階段をのぼって出口へと向かった。
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