「雨、大丈夫でしたか? 通り雨かもしれませんけど」
雨? 天気はよかったはずだけど。
振り向いて窓を覗くが、濡れた模様はない。
彼女の言うように通り雨かなんかで、局所的なものだったのだろう。
メッセージの次に、傘をさすヒヨコ?の姿が愛らしいスタンプが送られてきた。
「こっちは降らなかったみたいです。同じ東京でも違うものですね」
微笑みながらそう打つと、今度は別の動物をモチーフにした「ラッキー」のスタンプが届く。
可愛いところもあるんだな、と思っていると、駅で電車が停車して、乗客が乗り込んできた。
一瞬、雨の匂いを感じ取った。
Dさんのいるあたりから移動してきたのかな……
そんな感傷ともつかない思いにとらわれていると、なぜかDさんの足指に塗られていた水色のペディキュアが脳裏をよぎった。
「水」で連想したのだろうか。
やけに生々しくて、その割に遠く感じた。
また会えますか、と書いてしまいたかった。
でも、自信がなかった。
「どうもありがとう。また降り出すかもしれないから、引き続き気を付けて下さいね」
それだけ書いて、目を閉じる。
なにか不足があるとすれば、それは彼女ではなく僕の方だろう。
容易には埋められないなにか。
手の中のスマホが再び光った。
今度はParty事務局からだった。
「1名の方から連絡先が届いています」
確かめるまでもなく、Dさんのもの。
他人から受ける好意は、決して軽くはないのだ。
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