婚活パーティー追想記

恋愛こじらせアラフォー男子が婚活パーティーに参加した体験を追想します

039. 婚活パーティー【体験】初カップリング こだわりを捨てて(16)

「雨、大丈夫でしたか? 通り雨かもしれませんけど」

 

雨? 天気はよかったはずだけど。

 

振り向いて窓を覗くが、濡れた模様はない。

 

彼女の言うように通り雨かなんかで、局所的なものだったのだろう。

 

メッセージの次に、傘をさすヒヨコ?の姿が愛らしいスタンプが送られてきた。

 

「こっちは降らなかったみたいです。同じ東京でも違うものですね」

 

微笑みながらそう打つと、今度は別の動物をモチーフにした「ラッキー」のスタンプが届く。

 

可愛いところもあるんだな、と思っていると、駅で電車が停車して、乗客が乗り込んできた。

 

一瞬、雨の匂いを感じ取った。

 

Dさんのいるあたりから移動してきたのかな……

 

そんな感傷ともつかない思いにとらわれていると、なぜかDさんの足指に塗られていた水色のペディキュアが脳裏をよぎった。

 

「水」で連想したのだろうか。

 

やけに生々しくて、その割に遠く感じた。

 

また会えますか、と書いてしまいたかった。

 

でも、自信がなかった。

 

「どうもありがとう。また降り出すかもしれないから、引き続き気を付けて下さいね」

 

それだけ書いて、目を閉じる。

 

なにか不足があるとすれば、それは彼女ではなく僕の方だろう。

 

容易には埋められないなにか。

 

手の中のスマホが再び光った。

 

今度はParty事務局からだった。

 

「1名の方から連絡先が届いています」

 

確かめるまでもなく、Dさんのもの。

 

他人から受ける好意は、決して軽くはないのだ。

 

 

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